大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和29年(あ)715号 判決

右田中健三郎に対する傷害・傷害致死、細田政広に対する暴力行為等処罰に関する法律違反、鈴木幸雄、高橋五郎に対する暴力行為等処罰に関する法律違反・恐喝各被告事件について昭和二八年九月二九日仙台高等裁判所秋田支部の言渡した判決に対し各被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件各上告を棄却する。

当審において被告人田中健三郎、同細田政広、同鈴木幸雄のために附した国選弁護に関する訴訟費用はそれぞれ右各被告人の負担とする。

理由

被告人田中健三郎の弁護人山崎清の上告趣意第一点について。

記録を見ると、第一審判決が証拠に採つた第一審第二回公判調書中の証人長沢春夫の供述記載中、同証人の証言として「滝田医師が縫合した金善徳の傷を翌日診察したが、同医師は相当鋭利な刃物で刺した傷だと申していた」との趣旨の部分があることは所論指摘のとおりであり、そしてそれは伝聞証言に属すること並びに第一審公判調書中、被告人側において右部分の供述を証拠とすることに同意したと認むべき積極且つ明示の記載のないこともまた所論指摘のとおりである。

しかし、記録につき所論第一審判決第一の事実に対する同判決挙示の証拠を検討すると、右長沢証言中の伝聞証言の部分を全然除外しても判示事項を認定するに十分であり、且つ右部分は第一審判決が証拠として採用しなかつたものと解するを相当と認められるから、原判決が右部分をも証拠として採用されたことを前提として、その同意の意義に関してした原判決判示は畢竟無用の判示に帰するから、所論判例違反並びに憲法三七条二項違反の論旨は何れもその前提を欠き、刑訴四〇五条の適法な上告理由とならない。

同第二点について。

所論は証拠の価値判断を非難し、延いて事実誤認を主張するものであつて、適法な上告理由に当らない。

被告人細田政広の弁護人植木敬夫の上告趣意について。

所論は憲法一四条違反をいうけれども、その理由のないことは昭和二三年(れ)第四三五号同年一〇月六日の大法廷判決(集二巻一一号一二七五頁)の趣旨に徴して明らかである(なお、昭和二六年(れ)第五四四号同年九月一四日第二小法廷判決、集五巻一〇号一九三三頁参照)。論旨は理由がない。

被告人鈴木幸雄の弁護人岩武一寿の上告趣意第一点について。

上告趣意として控訴趣意書を引用することは不適法である(なお、暴力行為等処罰に関する法律一条一項後段の「数人共同シテ」とは、「二人以上共同して」の意義に解すべきこと、後記金崎弁護人の上告趣意について説明するとおりであり、原判決はそれと同旨に出でたものと解するを相当とするから原判決にはこの点の違法は存しない)。

同第二点について。

所論は量刑不当の主張であつて、適法な上告理由に当らない。

被告人高橋五郎の弁護人金崎益枝の上告趣意について。

暴力行為等処罰に関する法律一条一項後段の「数人共同シテ」の数人の意義は「二人以上」と解するを相当とする。所論引用の判例もまた同旨に出でたものであること、その判決の全文を見れば明瞭であり、所論は判決要旨に摘録された部分のみを見ての誤りに出でたものと思料される(なお大審院判例中右の意を明確に判示したものとして、大審院判例集一一巻一六二三頁、一七巻七八三頁各参照)。原判決また以上と同旨に出でたものと解すべきであるから、所論判例違反の主張はその前提を欠き適法な上告理由とならない。

なお記録を調べても、各被告人等の本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて、刑訴四〇八条、一八一条(但し被告人高橋五郎を除く)により、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 池田克)

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